- 『サヒーフ ムスリム』(全3巻)再版によせて
- 『預言者ムハンマド伝』序文
- 『預言者の妻たち』再版によせて
- 『正統四カリフ伝(上巻)』再版によせて
1.『サヒーフ ムスリム』(全3巻)再版によせて
日本サウディアラビア協会が最も権威あるハディース(預言者の言行録)集の一つである邦訳サヒーフ ムスリムを上梓してはや十五年になる。翻訳は日本人ムスリム(イスラーム教徒)学徒の手によりアラビア語原典から行われた。これは、日本で初めての偉業であった。
ハディースは、預言者ムハンマドが「生活の手本」として信徒に示した言葉と行為の記録である。ムスリムにとってはクルアーンに次ぐ導きの書であり、イスラームに関心を持つ者にとってはイスラーム理解の基本文献と言えるだろう。(樋口)
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2.『預言者ムハンマド伝』序文
慈悲あまねく慈愛深きアッラーの御名によりて
イスラームは、キリスト教、仏教と並び世界の3大宗教の一つに数えられている。しかし日本ではイスラームはまだ馴染みの薄い宗教である。その教祖ムハンマドも、イエス、仏陀に比べると殆ど知られていないに等しい。明治維新までの日本はイスラーム世界と直接の接触を持たなかった。そして世界が国際化が進み、日本が世界第2位の経済大国になり、日本がエネルギーの大半をイスラーム諸国に依存し、また日本の商品がイスラーム諸国の市場を席巻している現在でも、日本とイスラーム世界の間の人的、文化的交流は極めて僅かなものにすぎない。
日本では明治維新以来、学問とは、西欧の学問の輸入であった。それゆえイスラーム世界との直接の交流のなかった日本は、西欧のオリエンタリズムの目を通してイスラームを理解することになった。日本で出版されたイスラーム関係の書物は、殆どが西欧の文献の翻訳か、あるいはその亜流であり、ムスリムたち自身の立場から書かれたものは極めて少ない。ムハンマド研究についても事情は同じである。
聖俗を分けないイスラーム教の特質は、預言者ムハンマドという人間の多面的な人格、波乱の生涯を知ることなくしては理解し得ない。その意味でこの『預言者伝』は、イスラームの格好の入門書ともなっているのである。 (中田)
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3.『預言者の妻たち』再版によせて
イスラームへの誤解と偏見は今も多方面で聞かれるが、一夫多妻制をめぐる問題はその最たるものであろう。特に、預言者ムハンマドに十二人の妻がいたという表面的な事実だけをとらえ、この偉人を不当に貶める言説が流布していることは残念でならない。本書はそのような言説に与する方にこそ読んでいただきたい。
本書の意義や紹介については、先達の「あいさつ」と「はしがき」をご参照頂くことにして、ここでは本書の持つ今日的な意義について一つだけ指摘しておきたい。本書が出版された二五年前は、「あとがき」にもあるように、世界のムスリム(イスラーム教徒)人口は六億人といわれていた。それが今日では十二億人と倍増している。勿論、イスラーム圏の人口増加率が高いという事実はあるが、非イスラーム圏でイスラームを新しい生き方の指針として選ぶ人もまた急増しているのである。日本におけるイスラームへの関心も年々高まっている。このような状況の中で本書が再版されたことは、時代のニーズに応えることでもあり、高く評価されるであろう。(樋口)
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4.『正統四カリフ伝(上巻)』再版によせて
本書は預言者と共に生き、預言者亡き後のイスラーム共同体を拡大するために信徒たちを指導した4人の正統カリフの伝記である。今日まで続くイスラーム世界の骨格は彼ら正統カリフの時代に完成したといってもよい。読者は、本書を通じ「信仰篤き教友一人一人が後世の良き模範となった」(著者まえがき)ことを知るであろう。この意味において、本書がイスラームを正しく理解するための有益な知識を与えてくれることを確信する次第である。(樋口)
★今回再版されましたのは「正統四カリフ伝」の上巻のみですが、下巻は日本サウディアラビア協会が出版されたものがまだ在庫あります。正統四カリフ伝(上巻・下巻)」を購入ご希望の方は、事務所までご連絡ください。